よくある質問
臨床美術は、アートセラピーとは違うものですか?
臨床美術について一般的に「アートセラピー」とは、描かれた絵などから心理状態を分析する、コミュニケーションを行うなど心理療法のアートセラピーを思い浮かべる方が多いようですが、これらは心理学的アプローチといえます。
臨床美術は、医師らとチームを組んだ美術家からのアプローチであることが大きな特徴です。
特徴1
感性を刺激する独自の働きかけを行うことで脳を活性化させ心の解放、意欲の向上、感性の目覚めといった効果につなげていきます。
特徴2
美術に対し苦手意識を持っている人であっても、いつの間にか自然に自己表現ができる工夫を随所に凝らしたオリジナルのアートプログラムを用います。さらに、制作のプロローグにあたる「導入」の時間では、五感をフル活用してモチーフ(描く対象)を感じてもらう、思い出を語り合うなど、それぞれの制作にとって最も効果的な方法で参加者から思いやイメージ、そして表現したい気持ち=創作意欲を引き出します。
特徴3
本格的なアート性を有する独自のプログラムメソッドにより、制作する喜びや達成感を得ることができると同時に、各々の個性が発揮される表現が可能になります。
特徴4
完成した作品は、分析に用いることはありません。『鑑賞会』の時間を設けてそれぞれの作品の素晴らしいところを具体的に作者に伝えます。その繰り返しが意欲や自己肯定感の向上につながります。
どのような人を対象に行われていますか?
臨床美術について認知症の人とその介護者
生活の質(QOL)の向上や意欲の向上、家族とのコミュニケーション増加など、多くの事例が報告されています。
認知症を予防したい人
脳の活性化に加えて、心の解放、新たな生きがいの発見にもつながっています。
また、定年退職後の社会参加の機会としても注目されています。
発達が気になる子ども
自信や社会性の回復に効果が期待されています。
一般の子ども
感性を豊かに育むことで、幼児から思春期の子どもたちの健やかな心身の成長を支えています。
社会人
仕事で疲れたアタマのリフレッシュや従業員間のコミュニケーション向上、視点の変換や、発想力を向上させたいビジネスパーソンに求められています。
福祉教育として
小中学校、大学での導入実績があります。
研修として
参加者の尊厳を尊重するアプローチ方法が評価され、介護実務者研修に採用されています。
また、企業での新入社員研修や役員向けの研修としても実施されています。
施設で臨床美術を導入するにはどうしたらいいですか?
臨床美術について施設の事情に応じたご提案をいたします。
・当協会の団体会員としてご登録いただき、臨床美術教室を開催する
・臨床美術士をご紹介する、またはスタッフを臨床美術士として育成する など
施設内での体験説明会やデモンストレーションもご用意いたしますので、まずはご相談ください。
自治体で介護予防事業に導入するにはどうしたらいいですか?
臨床美術について臨床美術による介護予防教室の実施実績があります。
各地域に応じたご提案をいたしますのでご相談ください。
資格を取るのに制限や条件はありますか?
資格について臨床美術士養成講座は職業、性別に関係なく受講できます。
当協会の指定校にて養成講座を修了し、書類審査を経て5級を取得できます。4級以上は認定試験に合格すれば取得できます。詳しくは、各指定校にお問合せください。
資格を取得するにはどれくらいの時間がかかりますか?
資格について講座の日程によって一概にはご案内できませんが、授業時間は、4級取得講座修了までで68時間、3級取得講座は87時間+特別講座18時間+現場実習が基本です。
各講座修了後、資格試験~認定(資格取得)までは約2カ月間です。
受講期間については、「臨床美術を学べる場所」をご覧いただき、最寄の指定校にお問い合わせください。
資格取得者はどのように活動をしていますか?
資格について活動は多方面にわたりますが、ご自分の地域の施設や活動団体を通じて臨床美術を実践している方が一般的です。
隣国の韓国が代替医療に注力しているのに比べ、日本では芸術療法全般の認知が遅れており、そのようなケースでは必ずしも有償ではなく、ボランティアまたは有償ボランティアとして求められることも多いのが現状です。
そのため、残念ながら資格の取得がすぐに就職や収入に結びつくわけではありません。各々がフロンティア精神を持って継続的に活動の場を広げていくことが求められます。一方で、雑誌「日経ウーマン」の特集内で「時代を先取りする資格」の一つに選ばれました。今日充実した生活を送るためには、身体の健康だけでなく心の健康も求められていること、個人の尊厳を重視した介護サービスの充実や要介護を未然に防ぐことの重要性が叫ばれており、このような社会を構築するために必要な対策を十分にとることが結果、社会的コストの軽減につながることとして認識され始めています。臨床美術士の活躍の場は、このような現状からも今後益々拡がることが期待されています。
日本臨床美術協会では実践の場を開拓する臨床美術士・資格認定会員に対して、臨床美術ガイドブックの提供や、独自の広報ツールなどでアドバイスやサポートを行っています。また、施設職員や美術教室の講師、医療現場従事スタッフ、保育士が、自身の仕事の幅を広げるために資格を取得する例も増えています。
資格取得後もスキルを維持・向上させていけるでしょうか?
資格について資格取得者に向けて「研修会」を定期的に行っています。
臨床美術の最新情報を伝える会報誌の発行、知識の幅を広げるためのセミナーや講演会を実施しています。
交流会などを通じて資格取得者同士の学習会や研修会の実施を奨励しています。
会費はどのように使われるのですか?
会員向け協会の主な活動である
① 臨床美術士の認定事業および資格更新制度の運営
② 普及活動として公開セミナー開催、臨床美術学会への支援
③ 活動支援として会報誌の発行、交流会開催 など、
協会運営のために使われます。
年会費を払わないとどうなりますか?
会員向け2年度分年会費を払わないと自動的に会員資格を喪失します。
また、臨床美術士の名称を名乗れなくなり、協会会員の特典が受けられなくなります。
参加者の作品画像や制作風景の写真を、 自分のWEBサイトやSNSなどに掲載しても構いませんか?
会員向け作品の著作権および肖像権は制作者本人にあるので、無断で掲載することはできません。ホームページだけではなく、たとえばチラシなどを制作する際も同様です。
作品や制作風景等を掲載したい場合は、本人や臨床美術を実施した施設などに確認し、許可を得ることが必要です。
YouTubeやSNSに投稿する際の注意点はありますか?
会員向け以下の点についてご留意いただきたくお願いいたします。
【写真】
・セッションの開始~終了までの連続した写真の投稿は行わない。
・参加者の制作風景は遠景にとどめ、近景を使う場合2工程までとし、全工程の写真投稿は行わない。
・参加者が制作した作品および参加者の写真については、必ず参加者の同意を得た上で投稿を行うこと。
・アートプログラムの実施手順が分かるような詳細な説明文および写真の投稿は行わない。
ただし、アートプログラムの概要や使用する画材等について、芸術造形研究所のホームページで紹介されている内容に準ずるものであれば、掲載は可能とする。
【動画】
・撮影した動画は編集を行い、セッションの開始~終了まで継続した動画は使わない。
・臨床美術士のデモンストレーションは2工程までとし全工程のデモ動画を使わない。
・参加者の制作風景は遠景にとどめ、近景を使う場合2工程までとし、全工程の動画は使わない。
・参加者が制作した作品および参加者の動画については、必ず参加者の同意を得た上で投稿を行うこと。
・アートプログラムの実施手順が分かるような詳細な説明文および写真の投稿は行わない。
ただし、アートプログラムの概要や使用する画材等について、芸術造形研究所のホームページで紹介されている内容に準ずるものであれば、掲載は可能とする。
チラシやWEBサイト等で「臨床美術」や「臨床美術士」という表記を入れる際に、なぜ使用許諾申請書を提出しなければいけないのですか?
会員向け「臨床美術」および「臨床美術士」という言葉は、芸術造形研究所が商標権をもっています。
そのため、これらの表現を第三者が使用するには、原則として芸術造形研究所の許諾を得なければならないことが、法的に定められています。
本来であれば、使用する各々が芸術造形研究所に許諾申請をする必要がありますが、協会員に関しては円滑に許諾手続きが進むように、日本臨床美術協会が窓口となって行っています。
※「臨床美術」または「臨床美術士」の商標使用許諾を申請するには「商標使用許諾申請書」に必要事項をご記入の上、当協会までFAXまたは郵送にてご提出ください。
なお、制作する印刷物等には“「臨床美術」および「臨床美術士」は、日本における(株)芸術造形研究所の登録商標です。”の一文を必ず明記してください。
「商標使用許諾申請書」は、「5級」と「4級以上」で用紙が異なります。当協会にお問い合わせいただくか、下記ページからダウンロードしてください。
なぜ臨床美術士の資格更新制度が導入されたのですか?目的や意味を教えてください。
会員向け臨床美術士は社会のさまざまな場面で活躍するようになっています。また、臨床美術に関する研究等も日々進んでいます。
こうした現状を踏まえ、臨床美術士の社会的信用や専門性を堅持する目的で、資格更新制度が導入されることになりました。
会員の皆様に学会やセミナー等に積極的に参加していただくことで、臨床美術の最新情報に触れ、資格取得後も臨床美術士自身がすすんで自己研鑽、教育研究を重ねることで、より充実したセッション(現場活動)を実施することが期待されます。