―職業は理学療法士。福祉用具・医療機器の設計・製造・販売などを行っている会社で、リハビリや運動指導のほか、スウェーデンの自立支援の考え方を基盤にした会員制サービスを運営する中心的な役割を担っています。そんな富樫さんには、ある想いがありました。
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(富樫さん)
「小さい頃から絵を描くのが好きで美術の道に進みたいと思っていましたが、自分が体を痛めたことがきっかけになって、理学療法士になろうと高校の時に決めました。でも、頭の中で考えていた見えない世界を画面に表現できるあの不思議な体験、美術をやっている時間の心地よさをずっと覚えていて、いつかアートをという想いがありました。理学療法士の学校に通っていた時、先輩から“美術が好きなら臨床美術士っていう資格があるみたいだよ”という話を聞き、気になっていたのですが、地元で臨床美術教室が開催されていることを知り、私もやりたい!という気持ちが再燃しました。」
―臨床美術士の資格を取得した後、富樫さんは理学療法士的な目線で臨床美術を実施することを目指しているそうです。
(富樫さん)
「病気を患っているとあきらめの気持ちで悶々としていることもあって、生きていてもしょうがないみたいなネガティブな気持ちが出てくると、リハビリのモチベーションも下がってしまいます。そういう時に臨床美術を体験していただければ、自分がここにいることの確認というか、前向きになるきっかけになるのではないかなと。また、リハビリは辛いことも多いので、臨床美術でモチベーションをあげてからリハビリするという方法もあり得ると思います。」
(このコンテンツは、当協会会報誌JCAA News 45号「臨床美術士を訪ねて」の記事をご本人の許可を得て再編集し、ご確認いただいたものです。)