資格取得のご案内

臨床美術士とは

臨床美術士(クリニカルアーティスト)とは、TOPPAN芸造研ほか、各地で開講される臨床美術士養成講座(通信教育講座含む)を受講し、芸術的手法、コミュニケーション術、多様性を享受するマインドなど、臨床美術に必要な知識と技能を体系的に学び、臨床美術のアートプログラムを実践できる唯一の資格を持つ専門家です。

臨床美術士として活動するためには、当協会が実施する資格認定試験に合格し、協会員になる必要があり、経験や習得度により5級から1級まで取得することができます。詳しくは右記メニューの<資格を取るには>、<認定試験について>各ページをご覧ください。

臨床美術士の仕事

創作意欲を引き出す

臨床美術のアートプログラムを体験していただく時、参加者の中には「美術は苦手」と感じ、不安を抱く人は少なくありません。そのような場合を想定し、臨床美術士は参加者の皆さんが入室される時から歓迎の気持ちを充分に伝えます。また、「ここにいていいんだ」という安心感を抱いていただくため、握手からはじめることも多いです。
制作のプロローグにあたる「導入」では、五感をフル活用してモチーフ(描く対象)を感じてもらう、思い出を語り合うなど、それぞれの制作にとって最も効果的な方法で参加者から表現したい気持ち=創作意欲を引き出します。

感性を引き出す

臨床美術士は、アートプログラムに沿って参加者を制作へと導きますが、単に「作り方」を教える人ではありません。
参加者本人が能動的に自分の手で制作していくことを尊重します。
色選びに迷う、どんな線を引きたいか悩むなど、多少のストレスがかかることは脳機能の活性に有効であるとの研究結果もあります。
臨床美術士は参加者の気持ちや表現された作品に寄り添い、時には専門的な見地からの意見も伝えるなど、心からのコミュニケーションによって共に制作の時間を過ごし、その人ならではの作品作りをサポートします。

存在を受け入れる

臨床美術のプログラム終盤では、参加者全員の作品を並べて鑑賞会が行われます。
臨床美術士は、それぞれの表現の素晴らしいところ、個性的な部分などを具体的な言葉で伝えます。
このとき「上手い」という言葉は使いません。
表現作品は「上手・下手」で括られるものではなく個々の感性が輝くものであることを伝えます。
自分に正直に表現した作品が受け入れられることによって参加者は人として存在することへの根源的な喜びを感じるのです。

アートプログラムの作成

2級取得以上の臨床美術士は、作品を制作するためのアートプログラムの作成を手がけることができます。

感性への刺激があるか
それぞれの表現を追及できるか(個性的な作品が生まれるか)
誰でも無理なく制作に入れるか
作業的にならないか

などをポイントに、複数の臨床美術士によって練り上げていきます。
これらを実現するために、制作工程、素材、アプローチの方法まで多角的に検討し、多くの方に楽しんでいただけるよう、さまざまな工夫を凝らして、アートプログラムは作成されます。

臨床美術士の活動する場所

医療、リハビリテーションの場

認知症の症状改善・維持を目的にグループワークを行います。
【実施場所】 病院、診療所、リハビリテーションセンター

保健事業、介護予防事業の場

認知症の予防、脳の健康づくりとしてグループワークを行います。
【実施場所】 市町村の保健センター、地域センター、高齢者センター

福祉の場

高齢者のケア・アクティビティや心に問題を抱えた子どもたちへのケアとしてグループワークあるいはパーソナルセラピーを行います。
【実施場所】 介護老人保健施設など各種高齢者施設、障がい者福祉センターなど福祉機関

教育の場

子どもたちの感性を育むためのアプローチとして、あるいは福祉教育などの授業として行います。
【実施場所】 幼稚園、保育園、小学校、中学校、子ども造形教室、適応指導教室

シニア事業の場

セカンドライフを充実させるプログラム、アンチエイジング事業として、市民大学などの講座にも取り入れられています。また、シニア自身がボランティアの活動として行うこともあります。
【実施場所】 有料老人ホーム、グループホーム、地域センター、集会所

労働・研修の場

ストレスの多い職種に従事する人や多忙な業務についている人のための心のリフレッシュやサポート、介護実務者への研修として行います。
【実施場所】 各企業内、各種研修センター